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海外移住や長期の海外滞在で最初につまずくのが、日本側の手続きです。1年以上海外に住む見込みがあるなら「海外転出届」を出して住民票を抜くのが基本で、それに連動して健康保険・年金・住民税の扱いが変わります。加えて、クレジットカードやマイナンバーカードのように「日本にいるうちにやっておかないと後から取り返しがつかない」ものもあります。
私は5年以上海外で暮らし、ロンドン・パリを経て、今はドイツを拠点に仕事で世界中を飛び回っています。この記事では、出国前にやるべき手続きを実体験ベースで整理しつつ、制度の部分は最新の公的情報を確認して書きました。面倒な作業ですが、ここを飛ばすと予期せぬ出費につながります。
📑 目次
この記事でわかること
- 海外転出届を出すと、健康保険・年金・住民税がどう変わるか
- 住民税の「1月1日基準」という、タイミングの落とし穴
- マイナンバーカードを失効させないための出国前手続き
- クレジットカードを作るべきタイミング(ここが一番の実務ポイント)
- 海外から日本の口座・電話番号をどう扱うか
出国前チェックリスト(全体像)
まず全体像です。海外に出る前にやることを、順番に並べます。
出国前にやること
- ① クレジットカードを作る ※退職前に。あとから作るのは難しくなる
- ② ネット銀行の口座を用意する 海外から管理しやすい
- ③ 日本の電話番号をどう維持するか決める SMS認証で必要になる
- ④ 日本の住所(実家など)を決めておく 書類の送付先として必要
- ⑤ マイナンバーカードの国外継続利用の手続き しないと失効する
- ⑥ 海外転出届を出す 健康保険・年金・住民税がここで動く
ポイントは、①〜⑤を先に済ませてから、最後に⑥の海外転出届を出すという順番です。転出届を出したあとでは、できなくなる手続きがあります。
海外転出届と住民票の仕組み
海外転出届とは、日本を離れる際に市区町村に出す届出のことです。これを出すと住民票が除かれ、日本の住民ではない扱いになります。1年以上海外に滞在する見込みがある場合に出すのが一般的とされています。私も日本を離れるときに提出しました。
住民票を抜くと、住民票に紐づいている制度が連動して変わります。具体的には次の3つです。
| 制度 | 海外転出届を出すと |
|---|---|
| 国民健康保険 | 資格を喪失する(保険料の負担がなくなる) |
| 国民年金 | 資格喪失か、任意加入して継続かを選べる |
| 住民税 | 1月1日時点の住民票の有無で翌年度の課税が決まる |
⚠️ 判断は自治体によって異なります
滞在の期間・目的・生活実態によって、自治体の判断が分かれる場合があります。また制度は改正されることがあるので、必ずお住まいの市区町村の窓口と、日本年金機構など公式の情報で最新の取り扱いを確認してください。この記事は制度の全体像をつかむためのものです。
健康保険はどうなるか
海外転出届を出すと、国民健康保険の資格は喪失します。私も日本の健康保険からは抜けました。保険料の負担はなくなりますが、当然ながら日本の保険証は使えなくなるので、現地の保険や海外旅行保険でカバーする必要があります。
ここは無保険のまま渡航しないことが何より大事です。渡航先によっては入国時に保険加入が義務づけられている国もあります(たとえばジョージアは2026年1月から観光客に保険加入が必須になりました。詳しくはジョージア滞在ガイドに書いています)。
クレジットカードの付帯保険をあてにする場合は、補償内容と適用条件を必ず確認してください。カード別の比較は海外旅行保険はクレカで無料に!おすすめ4枚を実体験で徹底比較にまとめています。
年金は任意加入か、資格喪失か
国民年金は、海外転出にあたって「資格を喪失する」か「任意加入して払い続ける」かを選べます。任意加入した場合の保険料は国内居住者と同額で、月額16,980円(2026年4月時点)とされています。
払い続けるかどうかは、将来の受給資格や年金額をどう考えるかによります。海外にいる期間が長くなりそうな人ほど、ここは早めに調べておいたほうがいい部分です。金額も条件も変わるので、日本年金機構の公式情報で最新の内容を確認してください。
住民税は1月1日が基準
手続きのなかで、いちばん見落とされやすいのがここです。住民税は、原則として1月1日時点にどこに住民票があるかで課税が決まります。
⚠️ 出国のタイミングに注意
1月1日の時点で日本に住民票があるかどうかで、その年度の住民税の扱いが変わります。出国の時期によって結果が変わるので、年末年始をまたぐ渡航の人は特に注意してください。判断は自治体によって異なることがあるため、必ず市区町村の窓口で確認を。
また、住民税は前年の所得に対してかかるものなので、出国後に前年分の請求が届くことがあります。その支払いをどうするか(納税管理人を立てる、出国前に納めるなど)も、あわせて自治体に確認しておくと安心です。
マイナンバーカードは出国前の手続きが必須
これは比較的新しい話です。2024年5月27日から、日本国籍の人は国外転出後もマイナンバーカードを継続して利用できるようになりました。ただし、そのためには出国前に「国外継続利用」の手続きが必要です。
⚠️ 手続きしないと転出予定日に失効します
海外転出届を出す際に、マイナンバーカードと国外継続利用の申請書を一緒に提出する必要があります。この手続きをしないままだと、カードは転出予定日に失効してしまいます。窓口で「国外継続利用をしたい」と伝えるのを忘れないようにしてください。
クレジットカードは辞める前に作る
実務上、私が一番強く伝えたいのがここです。クレジットカードは、仕事を辞める前、日本にいるうちに作っておいてください。海外転出後に日本のカードを新規で作るのは難しくなります。
海外ではカードの紛失・盗難・磁気不良もあるので、複数枚を分散して持つのが基本です。年会費無料で海外旅行保険が付くカードなら、保険の確保も同時にできます。
私が世界一周の前に作って8年使っているエポスカードのレビューはこちら、カード別の保険比較はこちらにまとめています。
銀行口座とお金の管理
日本の銀行口座は、出国前にネット銀行を用意しておくと、海外からの管理が圧倒的に楽になります。窓口に行かずに残高確認や振込ができるからです。私もネット銀行を軸に管理しています。
⚠️ 非居住者の取り扱いは金融機関ごとに違います
海外転出後の口座について、多くの金融機関では届出や、非居住者向け口座への切り替え、あるいは解約が求められます。無届けのまま海外に住み続けて発覚した場合、口座の凍結や強制解約になるリスクがあります。取引のある金融機関それぞれに、非居住者になる場合の取り扱いを必ず確認してください。
日本と海外のあいだの送金は、銀行の国際送金より手数料の安い手段を使うのが基本です。私はWiseを使っています。
実際にどれだけ安いかはWise海外送金レビュー|銀行より安い理由を実体験で解説に、送金・両替・現地払いの組み立て方は留学・ワーホリのお金準備ガイドにまとめています。多通貨で使えるRevolutも、旅と海外生活では手放せません。
日本の電話番号とSMS認証
意外と盲点なのが、日本の電話番号です。日本の銀行や証券、各種サービスのSMS認証には日本の番号が必要になります。番号を手放すと、海外からログインすらできなくなるサービスが出てきます。
私は楽天モバイルで日本の番号を維持しています。海外在住者にとっては必須級だと感じています。
5年使った実感は楽天モバイルを海外在住者が5年使った感想|日本番号維持とSMS認証に詳しく書いています。旅行中のデータ通信をどうするかは楽天モバイルとUbigiはどっち?も参考にどうぞ。
あわせて、日本のサービスに海外からアクセスするならVPNも用意しておくと安心です。
日本の住所は実家にしておく
細かいことですが、日本国内の住所(書類の送付先)は実家などにしておくと、その後の手続きがスムーズです。カードの更新書類や各種通知の受け取り先として、日本の住所が必要になる場面はどうしても出てきます。
よくある質問(FAQ)
Q. 住民票は必ず抜かないといけませんか?
A. 1年以上海外に滞在する見込みがある場合に海外転出届を出すのが一般的とされています。ただし滞在期間や生活実態によって自治体の判断が異なることがあるので、お住まいの市区町村に確認してください。
Q. 住民票を抜くと健康保険はどうなりますか?
A. 国民健康保険の資格を喪失します。日本の保険証は使えなくなるので、現地の保険や海外旅行保険で必ずカバーしてください。
Q. 年金は払い続けたほうがいいですか?
A. 資格喪失と任意加入のどちらかを選べます。任意加入の保険料は月額16,980円(2026年4月時点)とされています。将来の受給をどう考えるか次第なので、日本年金機構で最新情報を確認して判断してください。
Q. 出国のタイミングで住民税は変わりますか?
A. 住民税は原則として1月1日時点の住民票で判断されます。年末年始をまたぐ渡航では特に影響が出るので、市区町村に確認してください。
Q. マイナンバーカードは海外でも使えますか?
A. 2024年5月27日から国外でも継続利用できるようになりました。ただし出国前に国外継続利用の手続きが必要で、しないまま転出すると転出予定日に失効します。
Q. クレジットカードはいつ作るべきですか?
A. 仕事を辞める前、日本にいるうちに作ってください。海外転出後の新規発行は難しくなります。複数枚を分散して持つのがおすすめです。
Q. 日本の銀行口座は持ったままで大丈夫ですか?
A. 金融機関によって非居住者の取り扱いが異なります。届出や口座種別の変更、解約が必要な場合があり、無届けだと凍結などのリスクもあるため、各金融機関に必ず確認してください。
まとめ
海外移住の手続きは、順番が大事です。カード・銀行・電話番号・マイナンバーカードを先に整えてから、最後に海外転出届を出す。この流れを守れば、あとから困ることはかなり減ります。
- 💳 クレジットカードは辞める前に作る。あとからでは難しい
- 📱 日本の番号はSMS認証に必要。維持手段を決めておく
- 🆔 マイナンバーカードは出国前に国外継続利用の手続きを
- 📅 住民税は1月1日基準。年末年始の渡航はタイミングに注意
- 🏦 口座の非居住者扱いは金融機関ごとに確認する
やることをしっかりやって、海外へ全力で飛び込みましょう。手続きは正直めんどうですが、やっていないと予期せぬ出費が発生したり、あとから余計な手間がかかったりします。逆に言えば、ここさえ片づけてしまえば、あとは現地の生活に集中できます。
渡航先ごとの準備は、イギリスワーホリ完全ガイド、ドイツ移住完全ガイド、世界一周の費用と準備にそれぞれまとめています。
FJ
ドイツ在住の日本人エンジニア。英語ゼロからフィリピン留学→ロンドンワーホリ→パリ→ドイツ就職と5年以上の海外生活を経験。世界60カ国以上を旅した一次情報ベースのブログ「FREE JOURNEY」を運営。
英語学習、世界一周、ヨーロッパ就職を綴った著書「世界一周の果て」発売中。
※本記事は執筆時点で公開されている情報をもとにした一般的な解説です。税・社会保険・在留に関する制度は改正されることがあり、個別の事情によって取り扱いが異なります。手続きの際は必ず市区町村の窓口、日本年金機構、各金融機関など公式の情報でご確認ください。